【知事から学生の皆さんへ】
新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大並びに
医療提供体制の逼迫に伴う県民の皆様へのお願い

2022-08-29

■「BA.5対策強化宣言」の発令
本県においては,新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大が継続し,医療提供体制が逼迫してきていることなどを受けて,8月3日に「BA.5対策強化宣言」を発令し,県民の皆様へ,感染防止対策の徹底や医療現場を守る取組についてのご理解とご協力をお願いしてきたところであります。

■感染状況
しかしながら,新規感染者数につきましては,この宣言の発令以降も増加傾向にあり,3,000人台から4,000人台と非常に高い水準で推移しています。
この感染については,離島を含め,県内各地で拡大しています。また,全ての年代で感染者が増加しておりますが,特に,高齢者層の感染者数が増えており,その割合は,7月には15%であったものが,8月には20%を超える水準となっています。

■医療提供体制の状況
受入病床につきましては,これまでもその確保に努め,今年度31床を増やし,現在751床を確保しているところです。今般,病床のフェーズを最も高い緊急フェーズⅡに引き上げましたが,病床使用率は,20日時点で61.9%と高い水準で推移しております。また,重症患者は,8月に入り増加し,20日現在で12人,酸素投与が必要な中等症Ⅱの患者も114人と多い状況となっています。
また,高齢で基礎疾患のある方が死亡されるケースも増えてきており,8月の死亡者はこれまでで119人と,月別では過去最多となっています。
県としては,今後とも新型コロナに感染された方で入院の必要な方が入院できるよう,更なる病床の確保に努めてまいりますが,受入医療機関においては,新型コロナ感染や濃厚接触等により出勤できない医療従事者が急増し,医療機関への負荷が一段と高まってきています。
このような中で,県民の皆様の命を守るために,現場の最前線で日夜献身的に貢献していただいております医師・看護師等の医療従事者の皆様方,そして感染防止にご協力いただいている全ての関係者,県民の皆様に改めて感謝を申し上げます。
ただ,この状況が続きますと,コロナ以外の重篤な病気の治療や手術を含め,県民の皆様への医療サービスを十分に提供できなくなることが懸念されます。何としても,県民の皆様と一丸となって今この感染拡大を食い止めなければならないと考えております。改めて,県民の皆様に感染防止や医療提供体制の維持のためのご協力をお願いいたします。

■県民への協力要請(基本的な感染防止対策の徹底)
夏休み,お盆の期間中における人の移動が活発化し,人との接触機会が増加したことに起因する感染が増えていると思われます。
県民の皆様におかれましては,移動・外出の際は体調管理をしっかりと行い,喉の痛みや倦怠感など少しでも体調の異変を感じた場合は,移動・外出を控え,かかりつけ医等の地域の医療機関に相談をお願いいたします。
また,最大級の警戒感をもって,こまめな手洗いや手指消毒,換気の徹底,場面に応じた正しいマスクの着用など,基本的な感染防止対策の徹底をお願いいたします。

■県民への協力要請(無料PCR検査の活用)
県では,8月末までとしていた無料のPCR検査を9月末まで延長いたしました。県下264か所において実施しておりますので,イベントに参加される際,離島を訪問される際,帰省などで高齢の親族の方等と会う際には積極的な活用をお願いいたします。
また,無症状であっても感染の不安のある方は,移動を控え,無料検査等をご活用いただきたいと思います。

■県民への協力要請(ワクチンの早期接種)
本県におけるワクチンの3回目接種率は依然として若年層での割合が低い状況となっています。
専門家によると,ワクチン接種については,3回接種した場合,発症リスクが半減し,小児も含めて,重症化予防を図るメリットの方が,接種後の副反応の懸念よりも大きいとされています。また,妊婦に対するワクチンは,妊婦・胎児双方に効果があるとされています。
ご自身の健康を守るため,また高齢者の方や小さいお子さん・大切な方への感染予防として,ワクチンの接種について積極的にご検討いただき,希望される方は,早めの接種をお願いいたします。

■医療を守るために(医療機関の適正受診)
次に,県民の皆様に本県の医療を守るための行動についてお願いいたします。
現在,感染者の急増により医療機関への負荷が急速に高まっています。
本県の救急医療の維持・確保のため,軽い発熱や喉の痛みといった軽症の方は,なるべく平日,日中の受診をお願いいたします。
特に療養解除時や濃厚接触者となった場合の陰性証明のための検査など,検査のみを目的とした受診はお控えください。
一方で,息苦しさや意識がはっきりしないなど,重い症状が見られる場合は,速やかにかかりつけ医等の地域の医療機関に相談や受診をお願いいたします。
また,新型コロナの陽性が疑われる方で救急車を呼ぶか迷う場合は,119番通報をする前に,24時間対応の受診・相談センターに電話でご相談ください。
県では,夜間における小児の急な病気などについては,看護師等が応急処置や医療機関の受診の必要性などの助言を行う「鹿児島県小児救急電話相談(#8000)」を設置していますので,ご活用ください。

■みなし陽性の適用
診療・検査医療機関の負担を軽くするため,陽性者の同居家族などが有症状となった場合には,医師の判断により,PCR検査や抗原検査等を行わず,臨床症状で診断する,いわゆる「みなし陽性」を本県におきましても臨時的に導入することといたします。

■退院基準を満たす前の転院等
また,国は,医療提供体制の逼迫を回避するために,早期退院の目安を4日とし,退院後の療養先として,転院や宿泊療養施設,自宅療養を可能としております。
本県においても,国の示した早期退院の運用を行い,退院後の療養先として,まずは宿泊療養施設を活用し,医師の判断と本人の希望により,自宅での療養もできることといたします。

■フォローアップセンターの整備状況
県では,陽性者が安心して自宅で過ごすために必要な健康観察や専用の相談対応を全県的に一括して行う体制の構築を進めてきております。
8月29日に「コロナ・フォローアップセンター鹿児島」を開設し,自宅で療養する方を対象に健康観察や相談対応,パルスオキシメーターや生活支援物資の配送などの全業務を開始することといたします。

■終わりに
本県は,これまでに経験したことのない事態を迎えており,現在の感染状況が続くと,医療崩壊が現実のものとなるのではないかと大変強い危機感を持っています。
県としては,引き続き全力をあげて,新型コロナウイルス感染症の感染防止や医療提供体制の確保にむけた取組を進めてまいります。
新型コロナウイルス感染症に対する強い危機感を今一度共有いただき,ご自身だけではなく,大切なご家族や友人,周りの方々の健康や命を守る行動をとっていただきますよう,皆様方のご理解・ご協力をお願い申し上げます。