建築デザイン学科古田教授のMBCインタビュー(建築デザイン学科)

2016-05-25

建築デザイン学科古田教授のMBCインタビュー(建築デザイン学科)

2016-05-25

建築デザイン学科古田教授のMBCインタビュー

建築デザイン学科
 

 

 5月18日(水)のMBC南日本放送「ニュースナウ」(18:15~18:55放送)で、建築デザイン学科 古田智基教授のインタビューが放送されました。

 インタビュー内容は、現在の耐震基準で設計されている建物の地震力を算定する際に適用される「地震地域係数(Z)」に関することで、地域的な地震頻度を考慮して決定される設計震度(設計地震力)の低減係数(Z)は本当に大丈夫ですか? といった質問に対するコメントでした。

 日本の耐震基準では、地震の比較的少ない地域では、設計震度(設計地震力)を基準震度(標準地震力)より割り引いてもよいことになっており、その時の低減係数を地震地域係数と呼び、係数が0.7〜0.9の地域がある。例えば、鹿児島県(一部除く)の係数は0.8、沖縄県の係数は0.7となっており、東京や神奈川・埼玉・千葉などの係数は1.0である。つまり鹿児島県で建てる建物は、首都圏の80%の地震力で構わないことになっている。過去の地震記録や状況を踏まえ、国土交通省が定めた設計震度(地震力)の低減係数であるが、 今回の地震の熊本県では0.8と0.9の地域に分かれている。

 

 ここで、「基準震度(標準地震力)」とは、「おおむね震度6強から7程度の地震力」を想定していることから、言い換えると以下の通りとなる。

(1)「震度7」で倒壊しないことを目標にする場合、Zを1.0超にする必要がある。

(2)「震度6強」で倒壊しないことを目標にする場合、Zは1.0とする。

(3)「震度6強」が来ないと想定する場合には、Zは1.0未満とする。

 

今回の熊本地震では、「地震地域係数」が0.9とされている熊本県益城町では震度7が2度も記録されており、この地震地域係数の意味が問われざるを得ない状況にきている。すなわち、Zが低い地域でもこのような地震が発生する可能性は有していると言える。静岡県では地震地域係数(Z)を1.2にすると条例で定めており、福岡市でも一定規模以上の建物は1.0とするよう努めることを定めている。

 

 このような状況下で、今後は、住まい手・買主・ユーザーが耐震に対する意識を高め、構造設計の地震力算定の際に、「どのような地震に対して耐えられますか?」といった問いかけを必ずして欲しいと思います。そこで、曖昧な回答が返ってきた際には、是非ご相談ください。

 ここで、放映はされませんでしたが、一般の木造住宅(4号建築物:例えば、木造2階建てで延べ面積が500m²以下のもの)は、「地震地域係数」の適用がありませんので、全国一律同じ耐震基準で建てられていることとなります。